大気の運動はどのようなときに起こるのでしょうか?
大気の運動は、低緯度と高緯度の間に生じた気温差を解消するように引き起こされます。
この気温差は、大気が受け取る太陽の放射エネルギーが低緯度では正となり、高緯度では負となることから、放射の効果によって生じてきます。
大規模な大気の運動は、地球の回転の影響を受け、中緯度では西風になります。西風のうち、上層のほうの風の強い部分がジェット気流と呼ばれるもので、対流圏界面付近ではこれが最大になります。この西風がふくことによって、中緯度の高気圧、低気圧は西から東に移動することが多いのです。
気象上からみた日本の四季というのは、とても明瞭に春夏秋冬が現れています。
春や秋は、低気圧や移動性高気圧が交互に通過していくため、気温が上昇したり低下したりし、それぞれ寒暖を繰り返しながら春から夏へ、秋から冬に移り変わっていきます。
春から夏の変わり目には、梅雨があります。梅雨時期は、西日本での多雨ばかりでなく、東日本では低温、寡照などの特徴があります。
梅雨前線の構成は、地球規模の大気の循環や、太平洋高気圧の関係、チベット高原と偏西風などいろいろな要素が交じり合って形成されています。
同じような前線として、初秋の秋雨前線があります。
夏には太平洋高気圧に覆われていますので全国的に晴天が多く、日中最高気温が30度をこえる真夏日も多いです。
夏から秋の変わり目には、南海上から北上してくる台風によって大きく影響を受けます。
冬は、太平洋側では晴天が多く、日本海側では降雪が多いです。日本海側の降雪は、大陸から吹き出す冷たく乾燥した空気が日本海上で水蒸気の補給を受けるため起こっているのです。
気象予報では、気象学と天文学の知識を合わせて、干潮と満潮(潮汐)の時刻を予想することができます。
潮汐は、地球の回転による遠心力をあわせた力(起潮力)と、月と太陽による引力で起こります。
起潮力の周期と、潮汐の波の大きさや、時間的な遅れの情報をあわせて潮汐の予報を行っています。地形や水深が異なると値も変わってきますので、それぞれの場所で観測を行い、その結果をもとに決定します。その結果の値をもとに、60項位の三角関数を計算して加え合わせ、潮汐の予報を行っています。
では、大気の運動によって引き起こされる気象災害についてみていきましょう。
気象災害には様々な種類のものがあります。数値予報の改善により、災害をもたらす現象を予報できます。
これには、大雨、大雪、暴風、高波などがあります。
大雨は、温帯低気圧、台風、梅雨前線などの前線が停滞している場合の大気中に水蒸気が多い夏季に多い傾向にあります。
大雪は、冬型の気圧配置が断続して寒気が南下すると起こります。
暴風や高波は、台風や温帯低気圧が接近すると起こります。
長期予報や週間天気予報で予報できる災害の現象には、少雨、長雨、日照不足などがあります。
晴天が続くと渇水につながり、一定の気圧配置が平年より長く続くと長雨になります。
気象レーダーなどで監視して予想する災害の現象には、竜巻や落雷がありますが、これらは時刻や場所と特定して予報することが非常に難しいため、原因となる積乱雲が発生しやすい状況などを予測して災害に備えます。
気象庁では、集中豪雨をもたらす現象も常に監視しています。
集中豪雨のおおよその発生の場所や、その量、時間などは1日~半日前くらいに予想することが可能な場合もあります。
集中豪雨の原因となる活発な積乱雲の寿命は約1時間ほどですが、積乱雲が同じ場所で次々と発生すると集中豪雨が何時間も断続することがあります。
集中豪雨を引き起こす活発な積乱雲は、大気の状態が不安定な時に発生しやすく、また、地形などの影響から水蒸気がある一定の狭い地域に集まると集中豪雨が引き起こされることもあります。
気象現象のうち、梅雨や台風など、雨をともなう現象は、暴風、土砂災害や、河川の氾濫、山やがけ崩れなどの様々な気象災害をもたらし、国民の生命や社会生活を脅かします。
大雨の原因となるものは、梅雨前線や台風、低気圧が代表的ですが、最近ではそのような広範囲の大雨だけでなく、夕立などの短時間に狭い範囲に降る激しい雨もあります。
短時間の激しい雨は、範囲も狭く長続きしにくいですが、梅雨前線や台風は、発達した雨雲を次々と作るので、広い範囲にわたって大雨を長時間降り続かせます。
短時間の雨は、全国的に発生しますが、長く続く大雨は九州や関東より西の太平洋側に面した地域で多く発生しています。それは、これらの地方が南からの湿った暖かい気流の影響を受けやすいためだと考えられています。
台風とは、熱帯低気圧が発達して、中心付近の最大風速が約17m/s(風力8)以上になったもののことを言います。
台風は、球の自転の影響から、北へむかう性質があり、上空の風に流されて動きます。
台風の発達の仕方は、暖かい海面から蒸発した水蒸気が凝結して雲の粒になる時に放出される熱をエネルギーとしています。
そのエネルギーは、移動の際や、海面や地上との摩擦により絶えず低下しており、そのエネルギーの供給がなくなってしまえば台風は2~3日で消滅してしまいます。上陸した台風が衰えるのは、このような理由です。
日本付近では、台風が接近すると上空に寒気が流れこみ、温帯低気圧に変わることもあります。
また、熱エネルギーの供給が少なくなって衰えると、熱帯低気圧に変わることもあります。